季節の生きもの情報

ここでは、六呂師高原で見られる生物を中心に、旬の情報を不定期で発信しています。

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爆裂!ツリフネソウ

六呂師高原の奥にそびえる経ヶ岳は錦に染まり、日に日に自然保護センター周辺にも秋が下りてきています。

実りの秋ということで多くの植物が実をつけてきましたが、まだ花を楽しめる植物もたくさんあります。

 

今日は花も実も面白いツリフネソウを観察してみましょう。

六呂師高原では花は終盤となり、実をつけた個体をたくさん見られるようになりました。

 

こちらは花と実を一緒につけた個体です。

ツリフネソウの花と実

 

花が釣り船に似ていることが名前の由来と言われてもピンときませんが、何とも面白い形をしていますね。この独特の形には深い意味があります。

ツリフネソウの蜜は、先細りのクルンと巻いた部分(写真の花の左側)にあるので、奥まで潜り込めるマルハナバチ類や口吻の長いオオスカシバ、ホシホウジャクなど限られた昆虫のみが蜜を吸えます。

 

奥まで潜り込んで吸蜜するトラマルハナバチ(9/14@妻平湿原)
潜り込んで吸蜜するトラマルハナバチ(9/14@妻平湿原)

 

長い口吻を花に伸ばすホシホウジャク(9/14@妻平湿原)
長い口吻を花に伸ばすホシホウジャク(9/14@妻平湿原)

 

吸蜜するホシホウジャク(9/14@妻平湿原)
吸蜜するホシホウジャク(9/14@妻平湿原)

こうした訪花昆虫は蜜を吸っている間に、花の内部上面にある雄しべに体が触れて確実に花粉を身にまとうことになります。

この仕組みのおかげでツリフネソウは、特定の昆虫により同種の花に確実に花粉を運んでもらい受粉を手伝ってもらえるわけです。

そしてマルハナバチなど限られた昆虫にとっては、ツリフネソウは蜜を独占できるありがたい存在なのです。

この様な昆虫と植物の両者に都合の良い、云わばウィンウィンの花の形ができるまでには、植物と昆虫の長い進化の共同作業(共進化)の歴史があると言われています。

 

講釈が長くなってしまいました。

さて、実は何が面白いのかは、連続写真をご覧いただくだけでお分かりいただけるはずです。

 

こうやって実を…

こうやって実を…

 

指で挟むと…

指で挟むと…

 

パチン!!

パチン!!

 

ん!!?

ん!!?

 

消えました!!

消えました!!

 

ツリフネソウは、実が開く際に、ねじれの力を一気に開放して遠くに種を散布することができるのです。

熟した果実は指で挟まなくても少し刺激を与えただけで炸裂し、目にもとまらぬ速度で種子を飛び散らせます。

飛び散った種が別の実に当たると連鎖反応で一度にたくさんの実が破裂したりもします。

はじめて体験すると病みつきになってそこらじゅうの実を触ってしまいます。ぜひ体験してみてください!

そしてきっとまんまとツリフネソウの思うつぼになってしまうことでしょう。

 

受粉方法にしろ、種子散布方法にしろ、何とも世渡り上手な植物ですね。

 

文責:国永