【自然観察の森に落ちているどんぐりの秘密】
今の時期、自然観察の森を歩くと道の色々な場所にどんぐりが落ちています。場所によっては、踏まずには歩けないほどの場所もあるほどです。さて、落ちているどんぐりをじっくり見てみると、変わったものがあることに気が付きます。
まだ青い葉がついた枝と一緒にコナラのどんぐりが色々な場所に落ちており、どんぐりに小さな穴があけられた痕があるのです。これにはある昆虫が関わっています。「ハイイロチョッキリ」というゾウムシの仲間です。ハイイロチョッキリは交尾をした後、メスが口吻(像の鼻のように長い口)でどんぐりの殻斗(帽子の部分)に穴をあけ、そこに産卵管を差し込んで卵を産み付けます。そのあと口吻を使ってあけた穴を埋め戻します。このようにどんぐりの中に産卵する昆虫には、ほかにシギゾウムシの仲間、ドングリキクイムシの仲間などがいますが、どれも孵化した幼虫はすぐにどんぐりの中身を食べることができます。
また、ハイイロチョッキリに関しては、産卵したどんぐりを枝ごと切り落としてしまいます。ハイイロチョッキリの1cmに満たない小さな体で枝を切り落とすには、ドングリに穴をあける以上に大変な作業のはずですが、なぜそんなことをするのでしょう。これは別のハイイロチョッキリに卵を産まれるのを防ぐためや、成熟したどんぐりが野鳥や動物に食べられてしまうことを防ぐためであると考えられています。落ちているどんぐりの中にも、様々な生き物の工夫や生存競争をうかがい知ることができます。
以下では今週、自然観察の森で見られた花や実、キノコなどをご紹介します。