今日、自然環境の保全は、私たち人類の最重要課題のひとつとなっています。私たちの生活を支える森林、河川、農地、湖沼、海洋などの生態系が世界各地で悪化する兆しが見えはじめているからです。福井県自然保護センターは、このような状況を踏まえ、本県の自然環境の実態把握に努めるとともに、県民に対してその恩恵と保護の在り方について考える場を提供することを目的として、平成2年7月に開設されました。
当センターは、経ヶ岳の麓に広がる六呂師高原の一角に位置し、雑木林、湿原、草原、池沼、渓流など、多様な自然に囲まれています。また、六呂師高原は環境省が実施していた「全国星空継続観察」において、星空観察に適しているとの評価を度々受けており、星空が美しい所としても知られています。さらに当センターに隣接して、宿泊研修施設である県立奥越高原青少年自然の家があり、自然とのふれあいや体験を深める上で、またとない好条件が揃っています。
当センターは開館以来、展示事業、天体観望会、県内各地での自然観察会などの事業を通し、一貫して本県の自然の素晴らしさ、楽しさを発信し、広く県民の中に、自然に親しみ、自然を大切にする心を育んできました。近年の自然に対する関心の高まりを考えると、当センターの重要性はますます高まっているといえます。平成25年9月に本県で開催されたSATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ第4回定例会合では、各国の参加者等から、本件の里山里海湖の豊かな自然、そこに根付いた伝統文化などが高く評価されました。身近な自然の価値については、地元に住む私たちよりも、国や風習が異なる人達の方が、はるかに客観的に評価できるのかもしれません。
今後も当センターでは、時代や社会の情勢に即した活動を展開して、情報の発信に努めてまいります。最後に、当センターの事業を支えていただいております運営会議委員、ナチュラリストリーダー、関係団体の皆様など多くの方々に、この場をお借りして厚くお礼申し上げます。