六呂師高原花暦【満開のチョウジソウ】 2017年5月26日号
六呂師高原に訪れた遅い春はあっという間に過ぎ去り、夏本番にむけてさまざまな植物がみずみずしさを増してきました。
センター本館前の駐車場のすぐそばでは、チョウジソウの小さなお花畑が見ごろを迎えました。
涼しげな空色が美しい清楚な花です。
花を横から見ると、“丁”という“字”に見えることが和名の由来と言われています。
このチョウジソウは、自然観察指導員の会の会員の手によって、10年以上前に勝山市野向町横倉から移植されたものです。
周囲の草刈りを行うことで少しずつ広がり、毎年きれいに花を咲かせています。
ところで、チョウジソウが本来生育する環境は、川岸の草地や谷の斜面などです。
こうした環境では、定期的に河川の氾濫などの自然かく乱を受けますが、その結果明るい草地が維持されるため、チョウジソウの生育に適していたと考えられます。
しかし、現在では護岸工事などの河川開発により、こうした環境はほとんど見られなくなりました。
生育地を失ったチョウジソウは次々と姿を消し、福井県のレッドリストでは県域絶滅危惧Ⅰ類に、環境省では準絶滅危惧に指定されています。
さて、センターのチョウジソウですが、昨年プランターに種をまくと、たくさんの芽生えが出てきました。今後多くの方がご覧になって絶滅危惧種に関心を持ってもらえることを願って、増やしていきたいと思っています。
なかなかお目にかかれない植物ですので、この機会に是非ご覧にお越しください。