早春の森を彩る植物たち(平成30年4月6日)
この冬は六呂師高原も大雪に見舞われましたが、いつもの年と変わりなく3月に雪も解け、自然観察の森では、カタクリやキクザキイチゲ、ミチノクフクジュソウなど春植物たちが花を咲かせ始めました。
これらの植物は、木々が芽吹く前の見通しの良い林の中で、春の光をいっぱい受けて、展葉、開花、結実を忙しなく済ませてしまします。そして夏には地上部が枯れて姿を消すことから、春の妖精やスプリング・エフェメラル(春の短い命)と呼ばれます。
自然保護センターのミチノクフクジュソウ(県域絶滅危惧Ⅰ類)は、生息域外保全のため、28年前に唯一の自生地である勝山市小原地区から十数株が移植されたものです。年々増加し、現在はおよそ20m四方の斜面いっぱいに広がっています。 今は咲き始めですが、来週から再来週には斜面一面が黄色くなっているはずです。 |
一方、こちらのショウジョウバカマは、冬の間も雪の下で葉を着けて春を待っていました。打ち上げ花火の様にたくさんの花がパッと開いています。花茎はこれからグングン伸びていきます。歩道のあちこちで、つぼみの状態や満開のものまで見ることができます。
花が咲いているのは足元だけではありません。上を見上げると、大きな白い花が風に揺れています。コブシの花です。
自然観察の森のコブシは歩道沿いに植えられていますが、森の中に入るとコブシのなかまのタムシバが自生しています。
花だけ見るとどちらも同じ様に見えますが、別種の樹木です。
見分けは難しくありません。花とその付け根に注目しましょう。
花の付け根に小さな葉がある |
開花時に葉は出ない |
花と同時に花の付け根に小さな葉が出るのがコブシです。一方、タムシバにはこの小さな葉はありません。
生き物の似ているところと違うところを見比べてみるのも自然観察の楽しみの一つです。
コブシやタムシバなどモクレン属の花には面白い特徴がありますが、それはまたの機会にご紹介したいと思います。
さて、今年も4月15日からは毎週日曜の四季の自然観察シリーズがスタートします。テーマは「観察の森に咲く花を見てみよう」です。ガイドが自然観察の森の自然を案内します。今年もぜひ自然保護センターにお越しください。