六呂師高原自然通信3 【自然観察の森のギフチョウ】(2017.4.29)

 自然保護センターが開館した平成2年頃、自然観察の森にギフチョウは定着していませんでした。
時折、遠方から移動してきた成虫の記録があっただけでした。

 

そこで私たちは、ギフチョウの食草であるウスバサイシンやカンアオイ類を、植栽しました。
また、成虫が吸蜜する春植物のカタクリも食草の近くに植えました。

 

しかし、植えた場所は日当たりが良い分、かなりの藪地でしたので、毎年、その藪を刈り払い、早春に日当りがよく、カタクリや食草が育ち、ギフチョウが飛ぶ空間が十分にある明るい林にする必要がありました。

 

カタクリは、種が落ちて、花を付けるまで7年以上かかります。
ウスバサイシンやカンアオイも成長が遅く、増えるまでに何年もかかります。

 

いつ、ギフチョウが来るようになるかもわからないまま、15年ほど前からは自然観察指導員の会の皆様の全面的なご協力を得ながら、気長に草刈りを続けて、約25年、昨年、初めてギフチョウの定着が確認されました。
いつの間にか、食草とカタクリが増え、ギフチョウの好む明るい林ができたのです。

 

さて、今年もその季節がやってきました。
今日、4月28日の午前中、日が射して暖かくなった頃を見計らって、ギフチョウを探してみました。
数は少なく、たった3頭の成虫を見つけただけですが、カタクリの花の蜜を吸うギフチョウを観察することができました。

ギフチョウの舞う自然観察の森の夢を描いてから、約25年、ようやく現実のものとなりました。
自然再生は、時間がかかりますね。
でも感無量です。

 

さて、観察される方は、以下のことにご注意ください。

 

・現場には、まだ花を付けるまで成長していないカタクリの芽生 えがたくさん出ています。
どうか踏まないように気を付けてください。
・ギフチョウは、採集しないでください。
見るだけ、撮影するだけにしてください。

 

もっとギフチョウが増えることを願っています。
彼らの生息環境を大切にしていきましょう。

 

自然保護センター