12月の主な天文現象
12月3日(木) |
下弦の月 「はやぶさ2」地球スイングバイ |
12月4日(金) ~8日(火) |
夜明け前の東の空で3惑星(木星・火星・金星)に月が接近 |
12月11日(金) | 新月 |
12月15日(火) | ふたご座流星群極大(午前3時頃) |
12月19日(土) | 上弦の月 |
12月25日(金) | 満月 |
12月29日(火) | 水星が東方最大離角 |
12月の天体トピック
ふたご座流星群が12月15日午前3時ごろに極大となると予想されています。今年のふたご座流星群は極大の時間帯や月齢からみて、ここ最近では最も良い条件で観察することができます。ふたご座流星群はペルセウス座流星群やしぶんぎ座流星群とともに「3大流星群」の一つですが、その中でも子どもを含めた家族で観察しやすい流星群です。その理由として、毎年安定して多くの流星が出現すること、20時頃の比較的早い時間から流星が出現し始めること、流星の速さが比較的ゆっくりなこと、などが挙げられます。みなさんでご一緒に流星を観察することができれば、一年を締めくくる良い思い出になりますよ。
時期:12月12日~16日ごろ 見ごろ:①12月14日22時~15日未明(午前3時極大) 最大で1時間当たり40個程度 ②12月13日22時~14日未明 月齢:3.0(19:32に沈むので、観望条件は最良です) 観察のポイント ・暗くて広く空を見渡せる場所で観察しましょう。 ・見る方角はどちらでも同様に流星が出現します。 (放射点にこだわる必要はありません) ・望遠鏡や双眼鏡は必要ありません。肉眼が最適です。 ・冬の夜間です。防寒対策は十分に。暖かい飲み物も用意しましょう。 ・レジャーシートやイスなどを用意してゆったりと観察しましょう。 |
「はやぶさ2」が地球スイングバイ12月3日(木)に小惑星探査機「はやぶさ2」が地球スイングバイを行います。 「はやぶさ2」は2014年12月3日に種子島宇宙センターから打ち上げられました。その後、地球の軌道と似た軌道に沿って、太陽の周りを公転していました。そして、ちょうど一年後の2015年12月3日に地球に接近し、地球の引力を利用して小惑星「Ryugu」(1933 JU3)に向かうための軌道制御である「地球スイングバイ」を行います。 地球に最も近づく時刻は19時7分ごろ(日本標準時)で、太平洋上空3100kmを通過する予定です。このスイングバイによって、太陽に対する「はやぶさ2」の速度は約30.3km/sから約31.9km/sに増速します。 日本では、12月3日の日没後から午後7時前にかけて接近する「はやぶさ2」を観測できるチャンスがあります。ただし、非常に暗い可能性があり、大きな望遠鏡でないと観測できないかもしれません。(2002年に火星探査機「のぞみ」による地球スイングバイを観測した際には、明るさが15~16等級でした)
より詳しい情報はJAXAの以下のページをご覧ください。 http://www.hayabusa2.jaxa.jp/topics/20151014/
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明け方の東天の3惑星に月が接近!日の出前の東の空には3つの惑星が並んでいます。地平線に近く、最も明るい星が明けの明星の金星(-4.2等)です。その右上には赤く1.5等で暗く輝く火星、さらに右上には-2.0等で輝く木星があります。その周辺には春の代表的な恒星が明るくかがやき、花を添えています。12月の上旬にはここに下弦から新月に向かって細くなっていく月が通過して、さらににぎやかな眺めになります。12月4日には木星、6日には火星、8日には金星に接近する月の様子をお楽しみください。 また、12月から1月上旬にかけてカタリナ彗星がおとめ座東部からうしかい座のアルクトゥールスにむかって通過します。明るさが4~5等級になるので肉眼ではギリギリ、双眼鏡があれば十分に観察することができます。12月8日の月と金星の接近時には、カタリナ彗星が月のすぐ上を通過するので、双眼鏡を用意して観察に挑戦してみてはいかがでしょうか。 |
12月の星座・天体
おうし座(星座絵:ステラナビゲータ/株式会社アストロアーツ)
おうし座は冬を代表する星座の一つです。紀元前3000年ころのシュメール時代から存在する星座で、トレミーの48星座の一つでもあります。ギリシャ神話ではフェニキアの美しい王女エウロパに恋をした大神ゼウスが、彼女に近づくために変身した純白の牡牛の姿だといわれています。 おうし座には有名な天体が数多くあります。一つはおうし座のα星「アルデバラン」です。全天で13番目に明るい一等星です。オレンジ色の巨星で直径は太陽の約50倍、質量は約25倍あります。星の外層部が大きく広がり不安定になっているため、不規則に0.75等~0.95等級の間で変更しています。 他にもおうし座の顔の位置にあるⅤ字型の散開星団「ヒアデス星団」や、すばるとしても有名な「M45プレヤデス星団」、超新星爆発の残骸「M1カニ星雲」などがあります。
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M45プレアデス星団は日本では「昴(すばる)」の名で平安時代から知られている天体です。肉眼では6~7個の星が集まっているように見え、夜空で目立つ、最もよく知られた散開星団です。私たちからは約400光年の距離にあり、120個ほどの若い星が集まった星団であると推測されています。写真では恒星の周りがガスに包まれているのが確認できますが、これは星団とガス雲が衝突しているところだと考えられています。
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M1カニ星雲は1054年に爆発した超新星の残骸です。日本や中国の記録では、超新星が出現した時に、数週間もの間、日中でも明るくかがやく天体が確認することができ、夜間には約2年にわたって夜空に明るくかがやいていたといわれています。星雲の中心には元の恒星の中心核が、中性子だけからなる「中性子星」となって残っています。この星は直径が約10kmであるにもかかわらず質量が太陽よりも大きい、大変高密度の天体です。また、この星は1秒間に30回という高速回転をしており、その回転によって光・電波・エックス線のパルスを放っているため「カニパルサー」と呼ばれています。
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天体写真の紹介
11月3日(火)に開催された天文教室「天体撮影に挑戦!(直焦点撮影)」では、天体望遠鏡にデジタル一眼レフカメラを取り付け、様々な天体の写真を撮影しました。参加者の方が撮影された写真を提供してもらいましたので、この場でご紹介します。
福井市 川端さんよりご提供 |
坂井市 斎藤さんよりご提供
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ご提供ありがとうございました。
12月15日 21時ごろの南の空(福井)
12月15日 21時ごろの北の空(福井)
(星図:ステラナビゲータ/株式会社アストロアーツ)
自然保護センターでは毎週土曜日の19:00~21:00の間に週末天体観望会を開催しています(一般天体観望会は1・2月は休み)。80㎝の天体望遠鏡で、惑星、星雲、星団、銀河などを観察します。このページでご紹介した天体も観望していただけますので、是非ご来館くださいね。
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