「生きもの情報」カテゴリーアーカイブ

  • 2019.01.31

    【冬の野鳥レストラン情報】
     1月26日(土)から強い寒波がやってきたため、自然保護センターでは80㎝の積雪となりました。このため、1月27日(日)以降はこれまで以上に野鳥たちが訪れるようになり、1月29日(火)には10種もの野鳥が観察できました。これまで1日に1~2回の来店だったアカゲラやオオアカゲラも、1日に数回は来店するようになり、レストランはとても賑やかになってきました。
     この日訪れた野鳥の中でも、特に一番の注目を浴びたのはアオゲラです。アオゲラは、頭部が赤色、体の背や翼の上面が暗緑色の美しい色合いの野鳥です。アカゲラ、オオアカゲラ、コゲラと同じくキツツキの仲間ですが、このアオゲラだけはレストランをなかなか訪れてくれませんでした。そのアオゲラが、ついに姿を現し、来館者の方々の目を釘付けにしました。惜しくも、29日(火)に来店したのは1回のみでしたが、翌日の30日(水)には3回来店し、そのうち1回はオス、2回はメスでした。
     冬の野鳥レストランは今後もまだまだ続き、これからが本番です。2月からは来館者の方が撮影した野鳥の写真を展示するコーナーを設けました。ご来館の際は、ぜひこの写真コーナーもご覧くださるとともに、ご自分のベストショットをお持ちくだされば、掲示させていただきます。

     

    ●1月25日(金)~1月31日(木)のご来店リスト

    ・ヤマガラ

    ・シジュウカラ

    ・コガラ

    ・エナガ

    ・アカゲラ

    ・オオアカゲラ

    ・アオゲラ・・・1/29(火)初来店

    ・コゲラ

    ・ルリビタキ

    ・カケス

    ・ヒヨドリ

    ・ハシブトガラス

     

    アオゲラ1
    アオゲラ2
    アオゲラ3
    アオゲラ4
    アオゲラ5
    アオゲラ6
    コゲラ
    アカゲラ
    エナガ
    ルリビタキ

    ※写真は全て平成31年1月30日(水)に撮影したものです。

     

    ≪お知らせ≫
    【白山国立公園パークボランティア写真展】

     1月26日(土)より、センター本館レクチャーホールにて、白山のパークボランティア活動&白山の自然を紹介する写真展を開催します(主催:環境省白山自然保護官事務所)。
     白山国立公園では、国立公園で美化清掃や自然解説などを行うパークボランティアの方々が活動されています。本写真展では、パークボランティアが撮影した白山国立公園の自然を多数展示しています。ボランティアの視点で切り取った白山での活動の様子や、風景、動植物のワンシーンをご紹介します。
     期間は2月17日(木)までと短いですが、センターにお立ち寄りの際にはぜひご覧ください。

     

    ≪2月2日(土)、3日(日)≫
    【冬の野鳥レストラン】
     近くでじっくりと観察することが難しい野鳥ですが、冬の野鳥レストランでは、あたたかい室内からエサ台に集まるたくさんの野鳥を間近で観察・撮影できます。 
    <日 時>1月5日(金)~2月28日(水)の開館日
         9:00~17:00
         土曜・日曜・祝日の10:00~15:00にはガイドを実施
    <会 場>本館2階 森の学習室

     

    【冬の星空ガイド】
     プラネタリウムに代わり、冬の星空解説や星座の物語を上映します。冬の夜空は最も一等星が多く昇り、とても豪華な星空が楽しめる季節です。ベテルギウス、リゲル、シリウス、プロキオン、ポルックス、カペラ、アルデバランの7つの一等星や、その付近の星座を中心に星空をガイドします。参加された方には、冬の星座のしおりや誕生日星空シートをプレゼントします。
    <物 語> 「エリダヌス座の話」
    <場 所> 本館2階 会議室
    <時 間> ①11:00~ ②14:00~ ③15:00~ (所要30分程度)

  • 2019.01.25

    【冬の野鳥レストラン情報】
     20日(日)からは雨や曇りの日が多かったため、六呂師高原の積雪はかなり少なくなり、野鳥たちがレストランに来ない時間帯が少し増えました。このような状況でも、常連さんのヤマガラやシジュウカラに交じって、エナガが1時間に1回程度10羽以上の群れで、好物の牛脂を食べに来ています。運が良ければエナガのなる木を見ることができます。また、アカゲラとオオアカゲラが1日に数回顔を見せてくれるようになりましたし、コガラは常連さんになりました。
     さらに、野鳥たちのご来店が増えることを願い、メニューを1つ追加しました。それは「バードケーキ」という野鳥専用のケーキです。バードケーキは主に小麦粉、ラード、砂糖を練り合わせたもので、センター職員手作りです。このバードケーキを枯木などに埋め込んだり、餌台に置いたりして、これから野鳥たちの人気メニューになることを期待しています。

    バードケーキ

    ●1月18日(金)~1月24日(木)のご来店リスト

    ・ヤマガラ

    ・シジュウカラ

    ・コゲラ

    ・エナガ

    ・ヒヨドリ
    ・アカゲラ

    ・オオアカゲラ

    ・コガラ

    ・ハシブトガラス

     

    ヤマガラ
    ヤマガラが目の前に
    新しい餌代に来店したシジュウカラ
    シジュウカラ
    エナガ
    エナガ1
     

    エナガ2
     

    エナガ3
    エナガとコゲラ
    新しい餌代に来店したヒヨドリ
     

    アカゲラ
     

    コゲラ

    ※写真は全て平成31年1月23日(水)に撮影したものです。

     

    ≪お知らせ≫
    【白山国立公園パークボランティア写真展】

     1月26日(土)より、センター本館レクチャーホールにて、白山のパークボランティア活動&白山の自然を紹介する写真展を開催します(主催:環境省白山自然保護官事務所)。
     白山国立公園では、国立公園で美化清掃や自然解説などを行うパークボランティアの方々が活動されています。本写真展では、パークボランティアが撮影した白山国立公園の自然を多数展示しています。ボランティアの視点で切り取った白山での活動の様子や、風景、動植物のワンシーンをご紹介します。
     期間は2月17日(木)までと短いですが、センターにお立ち寄りの際にはぜひご覧ください。

     

    ≪1月26日(土)、27日(日)≫
    【冬の野鳥レストラン】
     近くでじっくりと観察することが難しい野鳥ですが、冬の野鳥レストランでは、あたたかい室内からエサ台に集まるたくさんの野鳥を間近で観察・撮影できます。 
    <日 時>1月5日(金)~2月28日(水)の開館日
         9:00~17:00
         土曜・日曜・祝日の10:00~15:00にはガイドを実施
    <会 場>本館2階 森の学習室

    【冬の星空ガイド】
     プラネタリウムに代わり、冬の星空解説や星座の物語を上映します。冬の夜空は最も一等星が多く昇り、とても豪華な星空が楽しめる季節です。ベテルギウス、リゲル、シリウス、プロキオン、ポルックス、カペラ、アルデバランの7つの一等星や、その付近の星座を中心に星空をガイドします。参加された方には、冬の星座のしおりや誕生日星空シートをプレゼントします。
    <物 語> 「オリオン座の話」
    <場 所> 本館2階 会議室
    <時 間> ①11:00~ ②14:00~ ③15:00~ (所要30分程度)

  • 2019.01.17

    【冬の野鳥レストラン情報】
      1月の三連休は天候が良く、雪が少なかったためか、野鳥たちがレストランに来ない時間帯が多くなりました。このため、特に午後からは、来館者の方々は粘り強く、観察や撮影をしている様子が見受けられました。それでも、ヤマガラやシジュウカラが次々とやって来ることはもちろん、アカゲラ、オオアカゲラ、エナガは1日のうちに2~3回ずつは姿を見せてくれました。
     1月16日からは、雪が少しずつ積もり始めたこともあり、これから来店する野鳥たちが増えてきそうです。17日には、4~5羽のエナガが枯木の牛脂を食べに来店する回数も増えてきました。これからは、キツツキ類の来店回数も増えることが期待できそうです。
     目の前のヒマワリの種にやって来るヤマガラやシジュウカラたちを観察することも楽しいですが、奥の方の枯木で牛脂をついばみに来る野鳥たちを見つけることも、宝物を発見するようでとても楽しいことです。今週末は、たくさんの野鳥たちを見つけに、ぜひ自然保護センターまでお越しください。

    ●1月11日(金)~1月17日(木)のご来店リスト

    ・ヤマガラ

    ・シジュウカラ

    ・コゲラ

    ・エナガ

    ・ヒヨドリ
    ・アカゲラ

    ・オオアカゲラ

    ・ミヤマホオジロ・・・1月14日に初来店

    ・ミソサザイ・・・1回限りの来店(1月12日)

    ・ハシブトガラス

    ・キツネ・・・1月17日に初来店

     

    アカゲラ1
    アカゲラ2
    エナガ1
    エナガ2
    エナガ3
    エナガ4
    エナガ5
    エナガ6

    ※写真は全て平成31年1月17日(木)に撮影したものです。

     

    ≪1月19日(土)、20日(日)≫
    【冬の野鳥レストラン】
     近くでじっくりと観察することが難しい野鳥ですが、冬の野鳥レストランでは、あたたかい室内からエサ台に集まるたくさんの野鳥を間近で観察・撮影できます。 
    <日 時>1月5日(金)~2月28日(水)の開館日
         9:00~17:00
         土曜・日曜・祝日の10:00~15:00にはガイドを実施
    <会 場>本館2階 森の学習室

    【冬の星空ガイド】
     プラネタリウムに代わり、冬の星空解説や星座の物語を上映します。冬の夜空は最も一等星が多く昇り、とても豪華な星空が楽しめる季節です。ベテルギウス、リゲル、シリウス、プロキオン、ポルックス、カペラ、アルデバランの7つの一等星や、その付近の星座を中心に星空をガイドします。参加された方には、冬の星座のしおりや誕生日星空シートをプレゼントします。
    <物 語> 「オリオン座の話」
    <場 所> 本館2階 会議室
    <時 間> ①11:00~ ②14:00~ ③15:00~ (所要30分程度)

  • 2019.01.09

    【大好評!冬の野鳥レストラン】
     1月5日に開店した「冬の野鳥レストラン」は、今年も初日から多くの皆様にお越しいただき、心より感謝申し上げます。
     現在は積雪が少なく、野鳥も餌にそれほど困っていないためか、初日に訪れた野鳥の数は多くありませんでした。しかし、1月6日(日)には、数の多い順に、ヤマガラ、シジュウカラ、エナガ、コゲラ、アカゲラ、ヒヨドリ、ルリビタキが訪れ、餌台に取り付けた牛脂、カラスザンショウの実、ヒマワリの種、ミカンを元気よく食べていました。
     1月8日(火)には、新たにカケスが来店し、エナガの数も10羽程に増えました。牛脂を埋め込んだ枯れ木にエナガが4~5羽、鈴なりになって見事でした。野鳥の中でもトップレベルのかわいいエナガの群れはオススメです。

    ※写真は以前に撮影したものも含まれます。

    ヤマガラ
    シジュウカラ
    エナガ
    コゲラ
    アカゲラ
    ヒヨドリ
    ルリビタキ
    カケス

     

  • 2019.01.04

     いよいよ1月5日(土)より、「冬の野鳥レストラン」が開店いたします!

     開店前日には、職員一同、冬の野鳥レストランの開店に向けた準備を行いました。この日は、センターの学習広場で約30㎝ほどの積雪がありました。天候は良く、センター本館の森の学習室から見える山の斜面を職員全員で踏み固め、餌台や写真撮影小屋の設置、学習室内の設営等、さまざまな準備を気持ちよく行うことができました。開店準備は万全です。

     

     今年度の「冬の野鳥レストラン」はリニューアルしたポイントが2カ所あります。

    ①2つの新しい餌台を作製

    餌台1
    餌台2

     窓のすぐ近くに新しい餌台(手作りです)を設置しました。この餌台の中には現在ピーナッツの粉が入っており、台の底板に餌が出てくる設計になっています。この新しい餌台がお客さんで大繁盛すれば、皆さんのすぐ目の前でたくさんの野鳥を見ることができます。我々職員もとても楽しみです。

    ②撮影小屋をリニューアル

    撮影小屋
    中の様子

     野鳥の迫力ある写真を撮りたい方へ、この写真撮影小屋を設置しています。昨年度と比べパワーアップしたところは、小屋の中に床板を取り付けたことです。上の写真のように椅子も並べることができ、より安全で安定した環境で撮影ができます。

     さて、明日からは、この「冬の野鳥レストラン」により多くの野鳥が来店してくれることでしょう。もちろん、野鳥を見に来る皆さまのご来館も、首を長くしてお待ちしております。

    冬の野鳥レストラン
    ヤマガラ

     

     

  • 2018.11.16

     “奥山に 紅葉踏みわけ 鳴く鹿の 声聞く時ぞ 秋は悲しき”

     

     突然ですが、こちらは百人一首でもおなじみの猿丸太夫の歌です。秋の奥山でシカのオスがメスを呼ぶ姿に、離れた女性を想う男心を重ねて詠んだと言われています。

     

     実際、秋になるとニホンジカ(以下、シカ)は繁殖期を迎え、それまでメスの群れとは別に生活していたオスたちは、甲高い声でメスにアピールします。平安の人々にとっては、この歌の意味を理解できるほどシカの繁殖生態は一般的だったことに驚くと同時に、現代は自然との距離が離れてしまったということを思い知らされます。

     

     ところで、最近は、シカが増え、六呂師高原でも秋にはしばしば鳴き声を耳にするようになりました。シカは森林だけでなく良質な餌場となる草原が入り混じった環境を好みます。森林はもちろん、牧場という広大な草原がある六呂師高原は、雪が降るまでは正に楽園のような場所です。

     秋、夕方の牧場では、メスの群れに交じってたくましいオスが堂々とハーレムを築いている様子を観察できます。

    10月7日17:51 奥越高原牧場にて

     

     自然観察の森に設置したセンサーカメラには、秋になるとそれまでほとんど写らなかった立派な角のオスが頻繁に写るようになりました。まずは、「どんぐりの小径」に仕掛けたカメラの映像です。

     

    あっちへ行ったり・・・

    2018年10月23日7:05

    こっちに来たり・・・

    2018年10月24日19:57(夜間は白黒で写ります)

    立派な角のオスが頻繁に写りました。

     

     この場所では6月からカメラを設置しています。8月終わりまでの3ヵ月間はオスはたった1回(メス3回)しか写りませんでしたが、9月以降の2ヶ月半の間には12回もオスが写りました(メス0回)。 ※あくまで撮影回数で頭数ではありません。

     

     続いて「アプローチ歩道」と獣道との交差点の映像です。牧場と森をつなぐ獣道は、イノシシやツキノワグマも利用しますが、秋はシカのオスが最も頻繁に利用していました。

    2018年10月20日5:48

     ちなみに今回紹介したオスたちは、角が4つに分岐しているのがわかります。シカは成長とともに分岐数が多くなり、4尖のものは4歳以上といわれています。シカは2歳以上で繁殖能力を持つので、皆立派な成獣です。

     

    ここでは若い個体を含むメスの群れも写りました。

    2018年10月23日16:48

     六呂師高原周辺での具体的なシカの生息頭数は不明ですが、複数の個体が見られ、増えやすい状況にあることは間違いありません。

     

     現在、増えすぎたシカによる農林業や生態系への被害も問題になっています。自然保護センターでは、希少な植物の宝庫である池ヶ原湿原での生態系被害の現状について調査中です。このお話はまたの機会にしたいと思います。

     

  • 2018.11.02

     ここしばらくの冷え込みにより、白山からは雪の便りも届き、間もなく県内の山も雪化粧となりそうです。六呂師高原の最上部に位置する池ヶ原湿原では、夏に私たちを楽しませてくれた草花は葉を落とし、種を飛ばし、すっかり冬支度です。

    種を飛ばしたカキラン

     11月は私たちにとっても冬支度に追われる季節です。雪国福井の冬支度と言えば、とくに奥越では家屋等の雪囲いが欠かせません。実はここ池ヶ原湿原に生えるヨシは、江戸時代の1686年以降、雪囲いに用いるヨシズの材料として重宝されてきたことが地域の史誌に記録されています。この地域には、冬を前に堅く育ち軽いヨシを利用し雪に備えるという自然のリズムの中で生きる暮らしがあったのです。こうした暮らしは昭和の半ばまで続いたようですが、合成樹脂の波板など便利な物が登場とともにヨシズの役目は終わりました。

     こうした時代の変化により池ヶ原湿原では、ヨシ刈りは行われなくなり、開発の影響なども相まってハンノキなどの樹木やヨシが過度に生い茂り、明るく貧栄養な環境を好む植物が絶滅に瀕する状態となってしまいました。そこで10年前からは、ミズチドリやトキソウなど希少な植物を保全するため様々な活動が行われてきました。

     

     この保全活動の一環として、池ヶ原湿原保全・活用協議会では、毎年一般参加型のヨシ刈り活動を開催しています。先月20日に開かれた今年の活動には47名のご参加があり、地元企業や関係団体からだけではなく、自然が好きな方々などの新しい顔ぶれもありました。

    心配した雨も降らず、曇り空の下のヨシ刈り

     実はこの活動、ヨシを刈るだけならまだ楽なのですが、ハンノキの芽生えや稚樹の除去も必要で、これが結構大変です。可能な限り抜き取るのですが、根っことの綱引きは非常に骨が折れます。結局綱引きに負けて、萌芽しないことを願いながらハサミで切ることになってしまうこともありました。ただ無理をしては、こういう活動は長続きしません。『おしゃべりしながら楽しく安全に』が基本です。あっという間の1時間程で予定の範囲の刈り取と運び出しを終え、大勢の力の偉大さを実感する活動となりました。

    地道なハンノキとの闘い
    切りそろえたヨシと一緒に集合写真

     そして先日11月2日には、地元平泉寺小学校児童や地域の皆さんによるヨシ刈りも行われました。低学年の児童らは元気いっぱい楽しみながら、ベテランの中・高学年は慣れた手つきで頼もしい限りでした。

    元気にヨシを刈る平泉寺小学校の児童たち

     これらの活動で集めたヨシは和紙の原料として有効利用するため、ヨシ紙製造のノウハウをお持ちの越前市の山田兄弟製紙さんに運搬させて頂きました。来年の活動では、皆さんにヨシ紙製品を配ることができないか検討しています。乞うご期待です!

     今後もこうした活動が続き、希少な植物と地域の文化が守り伝えられることを願うばかりです。

  • 2018.10.25

     10月も終盤となり、朝晩の冷え込みを感じる今日この頃、六呂師高原では、経ヶ岳をはじめ背後にそびえる山の木々が、みるみる赤色や黄色に彩られてきました。標高500~600mの自然保護センター周辺は、まだ本格的な紅葉には早いですが、徐々に木々が色づいてきています。

     下の画像は先週、自然保護センターより標高が300m程高い経ヶ岳登山口周辺で拾った葉をスキャンしたものです。黄色いものから赤いものまで樹種によって様々な色があります。なぜ種類によって色が異なるのでしょうか?

    色づいた樹木の葉

     樹木の葉には光合成を行うクロロフィルという緑色の色素が多く存在するため緑色に見えます。春から秋までクロロフィルは分解と再生産が繰り替えされていますが、落葉樹では、日照時間が短くなり気温が低くなると、光合成の効率が落ちるため、葉を維持するコストが光合成によって得られる利益に見合わなくなります。そこで樹木は、クロロフィルの再生産をやめ、分解だけを行なうようになるため、緑色は薄くなり、葉に含まれる他の色素が見えるようになるのです。

     葉が黄色く変化する「黄葉」は、葉の中にもともと含まれていた「カロテノイド」という黄色の色素が見えてくることで起こります。

     一方、葉が赤く変化する「紅葉」はクロロフィルの分解に加え、別のしくみによって引き起こされます。「紅葉」する樹では、葉に蓄積されたブドウ糖が紫外線によって分解され、それまで存在しなかった新たな色素である赤色の「アントシアン」がつくられるのです。全ての樹種が糖からアントシアンを生成できるわけではないので、種類によっては紅葉しないものがあるのです。

     上の画像では、赤く色づいたハウチワカエデやヤマウルシなどは紅葉するグループです。

    ※ウルシのなかまは真っ赤な紅葉が美しいですが、触るとかぶれるので要注意です!

     一方、黄色い葉はたくさんありますが、落葉するまで黄色いままなのはオオバクロモジのみで、他の葉はさらに光が当たると、橙色や赤色、赤褐色に変化します。

    ハウチワカエデの部分紅葉

     ところで、紅葉狩りをしていると、同じ木の中でも枝や葉の部分によって色づき具合が違うことがよくあります。上の画像のハウチワカエデの場合、きっと緑色の部分は、他の葉にさえぎられて日当りが不十分だったのでしょう。以上のように、紅葉するかどうかは、木の種類だけでなく日当りなどの条件も重要となります。

     

    池ヶ原湿原の草紅葉

     六呂師高原の樹木の紅葉にはもうしばらく時間がかかりますが、日当たりの良い池ヶ原湿原では、シロネやミズオトギリ、ミゾソバなど草紅葉が一足早く見ごろを迎えています。紅葉の複雑なメカニズムはさておき、秋だけの絶景を楽しみに六呂師高原にお越しください。

  • 2018.09.28

    福井県では、いよいよ今週末より国体が開幕します。

     

    六呂師高原では、国体に先駆けて待ちに待った季節がやってきました。

    雨続きの今日この頃、お陰様で自然観察の森はうるおい、森に足を踏み入れると、そこはキノコのワンダーランド!

    あっちにもこっちにも不思議な色や形をした菌類たちがたたずみ、その応接に暇がありません。

    キツネノカラカサ、ネナガノヒトヨタケ、テングタケダマシ、チャホウキタケ、オオホウライタケ、コテングタケモドキ、カブラテングタケ、ツルタケ、ツルタケダマシ、ドクツルタケ、クサハツ、チョウジチチタケ、ウスヒラタケ、カワラタケ、オオゴムタケ、ホコリタケ、サンコタケ、キツネノエフデなどなど…。

    すでに森のキノコ国体は始まっています。

     

    そんなわけで今日は、今大会のスローガン“織りなそう力と技と美しさ”をテーマに、先日(9月24日)自然観察の森で出会ったキノコ選手団を紹介します。

     

    「力」

    キノコは、樹木と共生する“外生菌根菌”と木や葉などを分解する“腐朽菌”に分けられます。

    どんな堅い木でも分解してしまう腐朽菌は、みんな強力なパワーの持ち主です。

     

    そして物理的な力強さならば、本日の出場選手の中では、オオゴムタケがトップレベルでしょう!

    オオゴムタケ

    触ってみると、まさにゴムの様な力強い弾力。見つけたら触れずにはいられません。

    そして、オオゴムタケは皮をむくと、あら不思議、透明なゼリーのようです。

    皮をむいたオオゴムタケ

    なんと茹でて黒蜜をかけると素敵なスイーツとして食べられます(蜜の味しかしませんが)。

     

    「技」

    キノコは繁殖のために胞子を散布しますが、ただ傘を開いて風まかせに胞子を飛ばすだけではありません。

    こちらのホコリタケは、袋状をしており、その中には無数の胞子を貯えています。

    ホコリタケ

    指でつまんでみると、てっぺんの穴から勢いよく胞子を吹き出します。

    自然の中では、雨粒などの衝撃を利用して胞子を散布します。

    胞子を放出するホコリタケ

     

    そしてサンコタケやキツネノエフデは、なんと昆虫を使います。

    これらのキノコは、胞子を作るグレバと呼ばれる器官から悪臭を漂わせ、ハエなどの昆虫を誘い、キノコからキノコへと胞子を運ばせるのです。

    サンコタケ
    左の腕の下部にハエがとまっている
    キツネノエフデ

    先日も観察していると実際にハエがやってきました。

    キノコたちの巧な胞子散布の技をとくとご覧ください。

     

    「美」

    キノコの美しさを表現するのにもはや言葉は不要でしょう。

    キノコたちの美しくキュートなフォルムは古くからさまざまな芸術品や絵画のモチーフにも使われてきました。

    特に、ベニテングタケをはじめテングタケ科のキノコが持つ表裏一体の美しさと妖しさには不思議な魅力があります。

    自然観察の森のテングタケ科の代表選手が、白く艶やかなドクツルタケです。

    その名の通り毒があり、一本食べるとあの世行きです。

    ドクツルタケ

     

    美しいものには毒がある、と思いきや、同じテングタケ科のタマゴタケは、毒々しい美しさと裏腹に美味なキノコです。

    そのフォルムは、本当にパカッと開いた卵から生まれたようで、可愛らしさもあります。

    タマゴタケ

     

    どういうわけか今秋の自然観察の森では、あちこちでタマゴタケが発生しています。タマゴタケに会いたい方には数年に一度のチャンスですよ!

     

     

    そんなわけで、キノコに囲まれ一人森で盛り上がってしまいましたが、今週末からの国体と障がい者スポーツ大会が大いに盛り上がることを期待したいと思います。

     

    最後になりましたが、確実に鑑定された食用キノコ以外は決して食べないでくださいね!

     

    おまけ

    その他、先日であったキノコたち(順不同)

    ツルタケ
    テングタケダマシ
    チョウジチチタケ
    コテングタケモドキ
    ナガネノヒトヨタケ
    カブラテングタケ
    チャホウキタケ
    ドクツルタケ(幼菌)
    ウラベニホテイシメジ
    ウスヒラタケ
    カワラタケ
    ノウタケ
    キツネノカラカサ
    ハナオチバタケ

  • 2018.09.14

     このところの活発な秋雨前線の影響を受け、カラカラの8月がまるでウソのように雲が多く雨続きの9月になりました。そのため、今朝の六呂師高原の朝8時の気温は19℃、ついに20℃を切り、すっかり秋の気配が深まりつつあります。

     秋の七草のオミナエシやキキョウが植えてある絶滅危惧種の花壇は、秋の気配に覆われるにつれ、キキョウの花はほぼ終了、オミナエシの花も次第に緑色の種が目立つようになってきました。それでもまだ、昆虫レストランはチョウやハチ、アブなどで賑わっています。晴れた日には、まだまだ昆虫レストランを楽しむことができます。

     そんな中、秋の虫の代表「赤とんぼ」が、オミナエシの花に止まっているのを見つけました。顔がほんのりと赤いのは、これから次第に全身が赤く染まっていくナツアカネのオス。顔や胸は赤くならず、腹だけが赤くなるのはアキアカネ。そんな赤とんぼを観察していると、花壇のある学習広場の木々の枝先に赤とんぼが10頭ほど止まっているのを見つけました。9月初めには見られなかった光景です。

     そのうち、曇り空が少し明るくなり、薄日が射し始めると、学習広場の上空を赤とんぼが20~30頭、舞い始めました。今秋、初めて見る光景です。今年もまた、赤とんぼの群れが六呂師高原にやってきたのです。

     皆様の家の周り、職場や学校の周り、田んぼや畑などに赤とんぼが現れるのも、もうすぐです。見かけられた方は、ぜひ、自然保護センターにご報告くださいね~。

     

    ↓報告の方法は、以下のリンクからどうぞ!

    平成30年度『日本の原風景「赤とんぼ」を見つめ直すプロジェクト』リンク

     

    ナツアカネ
    ナツアカネ
    アキアカネ
    アキアカネ
    トンボの群れ
    トンボの群れ