「生きもの情報」カテゴリーアーカイブ
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2018.08.31
センター学習広場の絶滅危惧種花壇には、オミナエシ、キキョウ、マツムシソウの花がとてもきれいに咲いています。これらは、県版レッドデータブックでは県域絶滅危惧Ⅰ類に選定されており、今では見ることが困難な種です。現在、この花壇には吸蜜に来る昆虫たちが集まり、いわば「昆虫のレストラン」となっています。
この昆虫のレストランに、最近、とてもきれいな青色のハチがやってきていることに気付きました。大きさは1~2cmほど、まるでミツバチのように飛んでいます。本州、四国、九州に分布し、全国的に減少傾向の珍しいハチです。その鮮やかな青色と、珍しさから「幸せを呼ぶ青い蜂(ブルービー)」とも呼んでいるところもあります。
センターで詳しく調べたところ、この青いハチは「ナミルリモンハナバチ」というミツバチ科の一種でした。県によっては絶滅危惧Ⅰ類、絶滅危惧Ⅱ類、準絶滅危惧種に選定されています。福井県レッドデータブックでは、要注目と選定されており、生息状況がよく分かっておらず、数が少ないようです。また、ナミルリモンハナバチは、コシブトハナバチの巣に寄生(労働寄生)し、幼虫は巣の花粉などを横取りして育つめずらしい生態をしています。産み付けられる卵の数が制限されるために、個体数も一度に多くは増えません。このような生態からも、ナミルリモンハナバチが珍しい昆虫であることが分かります。
「昆虫のレストラン(絶滅危惧種花壇)」は、現在、吸蜜に来る昆虫でいっぱいです。花壇の横にカメラを置いて、たくさんの昆虫写真を撮ることもできます。中でも、この「幸せを呼ぶ青いハチ、ナミルリモンハナバチ」を発見できれば、みなさんに幸運がやってくるかもしれません。幸運をつかみに、自然保護センターへぜひお越しください。
職員がこの花壇で撮影中に、ウラギンシジミが手の上にやってきました。まさにシャッターチャンス!こんなにアップの写真が撮れますよ。ちなみにこのウラギンシジミは、汗を吸っているようです。
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2018.08.24
【昆虫のレストラン2号店…?】
8月から9月にかけて、学習広場花壇のオミナエシの花は「昆虫のレストラン」として、吸蜜にやって来る昆虫たちで大賑わいでした。時にはナミルリモンハナバチという珍しい昆虫もやってきたりと、カメラマンの方々には絶好の撮影スポットだったようです。9月末には、オミナエシの花期が終わるに従い、昆虫もほとんど見かけなくなり、この昆虫のレストランは、残念ながら閉店となりました。
ところが、自然保護センターの昆虫のレストランは、このオミナエシ店だけではありません。自然観察の森には、まだオープン中の昆虫のレストランがあります。ファミリー芝生広場の馬取池側にあるミゾソバの群生地です。ミゾソバは下部は白色、上部は淡紅色をおびた小さな花を、50cm程に伸びた一つの茎に多数の花を付けます。そのため、ミゾソバの群生地は、昆虫たちにとっては吸蜜するのに丁度よいスポットで、オミナエシに次ぐ「昆虫のレストラン2号店」と言ってもよいでしょう。
先日は、このミゾソバの昆虫のレストランに、多くのミツバチが吸蜜に来ていましたし、ハナムグリ、ハエやアブの仲間もいました。他にも、2~3匹のオオウラギンスジヒョウモンも蜜を味わいに来ていました。オオウラギンスジヒョウモンは、日当たりのよい草原に多く、低山では7~8月は休眠しています。秋になって気温が下がり、休眠から覚めたオオウラギンスジヒョウモンは、このミゾソバの蜜がとても美味しいのか、大きな羽を一生懸命動かしながら吸蜜に来ていました。また、この日は数匹のハチドリのように飛ぶホシホウジャクにも出会いました。ミゾソバやツリフネソウの群生地を行ったり来たりと大忙しでした。
自然観察の森全体には、ツリフネソウ、アキノキリンソウ、サンインヒキオコシの花もまだ咲いており、こちらにも昆虫が吸蜜しに来ていますが、どうやらミゾソバの方が人気がありそうです。
さて、これらの植物や昆虫についての解説を聞きながら、自然観察の森を歩く「四季の自然観察シリーズ」も10月末までとなっており、あと残り3回です。この観察会に参加すれば、六呂師高原の秋の自然を満喫できること間違いなしです。今週末は、自然保護センターにぜひお越しください。
【赤とんぼがやってきました】
このところの活発な秋雨前線の影響を受け、カラカラの8月がまるでウソのように雲が多く雨続きの9月になりました。そのため、今朝の六呂師高原の朝8時の気温は19℃、ついに20℃を切り、すっかり秋の気配が深まりつつあります。
秋の七草のオミナエシやキキョウが植えてある絶滅危惧種の花壇は、秋の気配に覆われるにつれ、キキョウの花はほぼ終了、オミナエシの花も次第に緑色の種が目立つようになってきました。それでもまだ、昆虫レストランはチョウやハチ、アブなどで賑わっています。晴れた日には、まだまだ昆虫レストランを楽しむことができます。
そんな中、秋の虫の代表「赤とんぼ」が、オミナエシの花に止まっているのを見つけました。顔がほんのりと赤いのは、これから次第に全身が赤く染まっていくナツアカネのオス。顔や胸は赤くならず、腹だけが赤くなるのはアキアカネ。そんな赤とんぼを観察していると、花壇のある学習広場の木々の枝先に赤とんぼが10頭ほど止まっているのを見つけました。9月初めには見られなかった光景です。
そのうち、曇り空が少し明るくなり、薄日が射し始めると、学習広場の上空を赤とんぼが20~30頭、舞い始めました。今秋、初めて見る光景です。今年もまた、赤とんぼの群れが六呂師高原にやってきたのです。
皆様の家の周り、職場や学校の周り、田んぼや畑などに赤とんぼが現れるのも、もうすぐです。見かけられた方は、ぜひ、自然保護センターにご報告くださいね~。
↓報告の方法は、以下のリンクからどうぞ!
【幸せを呼ぶ青いハチ】
センター学習広場の絶滅危惧種花壇には、オミナエシ、キキョウ、マツムシソウの花がとてもきれいに咲いています。これらは、県版レッドデータブックでは県域絶滅危惧Ⅰ類に選定されており、今では見ることが困難な種です。現在、この花壇には吸蜜に来る昆虫たちが集まり、いわば「昆虫のレストラン」となっています。
この昆虫のレストランに、最近、とてもきれいな青色のハチがやってきていることに気付きました。大きさは1~2cmほど、まるでミツバチのように飛んでいます。本州、四国、九州に分布し、全国的に減少傾向の珍しいハチです。その鮮やかな青色と、珍しさから「幸せを呼ぶ青い蜂(ブルービー)」とも呼んでいるところもあります。
センターで詳しく調べたところ、この青いハチは「ナミルリモンハナバチ」というミツバチ科の一種でした。県によっては絶滅危惧Ⅰ類、絶滅危惧Ⅱ類、準絶滅危惧種に選定されています。福井県レッドデータブックでは、要注目と選定されており、生息状況がよく分かっておらず、数が少ないようです。また、ナミルリモンハナバチは、コシブトハナバチの巣に寄生(労働寄生)し、幼虫は巣の花粉などを横取りして育つめずらしい生態をしています。産み付けられる卵の数が制限されるために、個体数も一度に多くは増えません。このような生態からも、ナミルリモンハナバチが珍しい昆虫であることが分かります。
「昆虫のレストラン(絶滅危惧種花壇)」は、現在、吸蜜に来る昆虫でいっぱいです。花壇の横にカメラを置いて、たくさんの昆虫写真を撮ることもできます。中でも、この「幸せを呼ぶ青いハチ、ナミルリモンハナバチ」を発見できれば、みなさんに幸運がやってくるかもしれません。幸運をつかみに、自然保護センターへぜひお越しください。
職員がこの花壇で撮影中に、ウラギンシジミが手の上にやってきました。まさにシャッターチャンス!こんなにアップの写真が撮れますよ。ちなみにこのウラギンシジミは、汗を吸っているようです
【絶滅危惧種花壇は昆虫のレストランに】
本館下にある学習広場には、昨年、職員作業で造成した絶縁危惧種の花壇があります。この花壇に植えられている絶滅危惧種は、オミナエシ、キキョウ、マツムシソウで、いずれも県版レッドデータブックでは県域絶滅危惧Ⅰ類に選定されており、今ではほとんど見ることが困難な種です。
これらの植物は、今は絶滅危惧種ですが、かつては六呂師高原のあちこちを彩っていた身近な草花でした。50年ほど前まで、六呂師高原では、牛馬の飼料を得るための採草などによって草原が維持されていましたが、その後は機械による牧草の刈取りやレジャー施設の造成などの影響で、草原に生育するこれらの種は減少してしまったと考えられます。
そこで、自然保護センターでは、これらの種の系統を保存するとともに、来館者の皆様に六呂師高原の絶滅危惧種を手軽に知っていただくため、この絶滅危惧種の花壇を造成したというわけです。
また、オミナエシとキキョウは、万葉集に詠われた秋の七草(ハギ、ススキ、クズ、ナデシコ、フジバカマ、オミナエシ、キキョウ)です。万葉集が詠われた頃には、身近に普通にあった草花であったことが、このことからもよくわかります。
さて、前置きが長くなりましたが、現在、キキョウの花はやや終盤を迎えつつありますが、オミナエシとマツムシソウの花は見頃です。
黄色い小さな花が集まった背高のっぽのオミナエシの花は、本館前の駐車場からもよく見えます。花壇に近づけば、小さな花が集まり半球状でクリのイガのようなめしべが目立ち、その周りには薄紫色の柔らかな花びらまとったオシャレなマツムシソウの花がちらほらと見えるはずです。
キキョウのような大きな花は見ごたえがありますが、この小さな花たちのハーモニーも見事です。しかもそんな小さな花たちに誘われ、多様なチョウやハチなどの吸蜜昆虫が集まります。まさに「夏の昆虫レストラン」のご開店です。
吸蜜に来る昆虫たちは、どれもこれもまとった衣装とメイクの個性派ばかり!逃がさないように静かに近づき、じっくりと観察してみると、その顔と衣装の個性のすばらしさに感動です。
特にお勧めは、ホウジャクガの仲間。驚異的なホバリング能力と超長い口吻を使って、小さな花を次々と移動しながら吸蜜する姿は、まさに日本のハチドリ!一度、ご覧になれば「ええええええーーー!」の嵐です。
でもいつもいませんから、少なくとも30分ぐらいじっとご来店をお待ちになってくだいね。
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2018.07.29
夏、湿地や池に生息するトンボたちは、開けた水面のある場所を好みます。
ところが梅雨から盛夏にかけて、植物はどんどん成長し、開けた水面をどんどん覆ってしまいます。そのため、夏から秋のトンボたちがたくさん集まって産卵できるようにするためには、水生植物が繁りすぎないように管理する必要があります。
そこで自然保護センターでは、毎年この時期に、妻平湿原のヨシやマコモなどの抽水植物を抜いたり刈ったりして、伸びすぎないように管理する作業を行っています。
去る7月27日、今年の猛暑にも負けず、職員一同、汗だくになりながら、トンボたちの楽園を守るために頑張りました。
今年も8月から9月にかけて、ギンヤンマ、オオルリボシヤンマ、ショウジョウトンボ、ネキトンボなどのオシャレで色鮮やかなトンボたちの繁殖行動が観察できると思います。 -
2018.06.30
平成30年6月24日(日)に、勝山市平泉寺町にある池ヶ原湿原にて、「植物観察会&外来植物駆除活動」が行われました。この活動は、地域の企業や団体・学校・行政・専門家等によって構成される池ヶ原湿原保全・活用協議会が主催しており、当センターも事務局として大きく関わっています。実施当日は、晴天で暑い日でしたが、約40名と多くの方々に参加していただき、気温とともに内容も高まった観察会&活動となりました。
この行事の目的は、参加者の方々に、池ヶ原湿原には長い歴史があり、多様な植物等の生物が残されていることや、生態系を破壊するおそれのある外来植物オオハンゴンソウが侵入していることを知っていただくとともに、その駆除を体験していただくことです。
まずは、前半の湿原植物観察会において、参加者の方々に、池ヶ原湿原の成り立ちや経緯、湿原植物とヨシやハンノキ等の関係を知っていただき、保全活動がどのように行われてきたかを学んでいただきました。下の写真は、開会式と湿原植物観察会でのお話しの様子です。専門家による分かりやすい解説で、初めて参加された方も、熱心に耳を傾けておられました。
観察会では、池ヶ原湿原の木道を歩いているだけでも、とても爽やかで気持ちが良いですが、何といっても湿原植物があちこちに咲いているところが魅力的です。自然観察指導員の先生方の分かりやすい解説のもと、様々な湿原植物を観察することができました。
人の背丈よりも大きくなったヨシの間からは、ミズチドリの白い花たちが顔をたくさんのぞかせていましたし、メタカラコウやカキランのつぼみ、モウセンゴケ等を見ることもできました。
また、観察会の途中、センター職員からは、池ヶ原湿原の歴史についての解説を行いました。実は、昨年、池ヶ原湿原では、京都府立大の高原教授らのグループによってボーリング調査が行われ、採取された堆積物の中から、約3万年前に鹿児島湾の姶良カルデラが大噴火した際に降灰した火山灰が発見されています。今、目の前にある池ヶ原湿原の環境は、氷期を超えて成り立った貴重なものであることをお伝えすることができ、良い機会となりました。
この後も、その他の湿原植物を観察し、保全活動の必要性について十分に学ぶことができ、参加者の皆さんもたいへん興味関心を持っていただけたようです。
そして、いよいよ会の後半は、オオハンゴンソウの駆除活動です。まずは、オオハンゴンソウの繁殖力の強さを駆除の方法と合わせてお伝えしました。そもそもオオハンゴンソウは、外来生物法で特定外来生物に指定されており、栽培や生きたままの運搬等が禁止されています。その繁殖力はとても強く、根まで丁寧に取らないと、またすぐに新たな株が生えてくるほどです。また、根こそぎ除去しても、まき散らされた種が地中に山ほど眠っており、取っても取っても次々と生えてくるため、根気強く駆除活動をしていく必要があります。この池ヶ原湿原でも、約10年に渡りこのオオハンゴンソウの駆除活動を続けてきましたが、未だ根絶には至っておりません。駆除活動をやめてしまうとたちまち湿原内で繁茂し在来の植物に悪影響を与えかねません。
駆除活動を行う前に、長年池ヶ原湿原でのオオハンゴンソウ駆除を請け負っている、株式会社BO‐GA(ボーガ)の講師から、正しい駆除の方法のレクチャーがありました。
さて、駆除方法をご理解いただけたところで、実際に湿原内外の3か所に別れて駆除活動を行いました。
サンカクホーやスコップ、根堀り等を使いオオハンゴンソウを根こそぎ採ろうとしますが、思っていたよりも根が深く張っており、力が必要でした。しかし、大勢の力が集まったことで、駆除したオオハンゴンソウのつぼみを切り取って集めたり、再び根が張らないように根を切り乾かしたり、一つひとつの作業を丁寧に行うことができたように思います。
オオハンゴンソウが減ったことが確認でき、参加者の方々の作業後の顔には、すがすがしい爽やかな汗が光っていました!
今回は駆除活動にはあまり多くの時間は割けませんでしたが、湿原内にはオオハンゴンソウがほとんど見当たらなくなりました。
湿原の外にはまだまだオオハンゴンソウが繁茂していますが、この夏もイベント以外での駆除活動を継続して行います。
今回の植物観察会&外来植物駆除活動は初めての試みでしたが、多くの方々に池ヶ原湿原の歴史や湿原植物等の生態系や、生態系を破壊するおそれのある外来植物であるオオハンゴンソウが侵入していることを知っていただくとともに、駆除を体験していただくことができ有意義な活動になったように思います。
湿原のミズチドリに代わって、ご参加いただいたみなさんに感謝申し上げます。
さて、今後の予定として、協議会主催のイベントとしては、10月20日にはヨシ刈り活動も予定されており、7月21日までの毎週土曜には湿原ガイドも実施されますので、是非ご参加ください。
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2018.06.14
今回は、今週見ごろを迎えた六呂師高原の花々を簡単に紹介します。
まずは池ヶ原湿原です。
ただいま池ヶ原湿原では、トキソウが見ごろをむかえています。
トキソウは小さなラン科の植物です。
福井県では生育地は少なく、レッドデータブックでは県域絶滅危惧Ⅰ類に記載されています。
トキの羽色の様な薄いピンク色と大変かわいらしいたたずまいが人気です。木道にしゃがみ込んでラン特有の複雑な花のつくりも観察してみてください。
池ヶ原湿原のトキソウ 複雑な構造のトキソウの花 良い写真を撮るためには、つい花に近づきたくなりますが、撮影の際は絶対に木道を外れ、湿原に踏み込まないようお願いします!
池ヶ原湿原では、同じくラン科のミズチドリ(県域絶滅危惧Ⅰ類)もつぼみがちらほら確認できるようになりましたが、満開は月末になりそうです。
開花の時を待つミズチドリのつぼみ 毎週土曜の池ヶ原湿原ガイドでは、ガイドの先生がとっておきの湿原情報をご案内しますので、ぜひご参加ください!
次回は6月16日の11時~と13時15分~の2回です。開始時間までに奥越高原牧場となりの池ヶ原湿原駐車場にお越しください。
つづいて自然保護センター周辺の自然観察の森です。
自然観察の森では、神明山を中心にササユリがたくさん開花しています。
甘い香りと大きな美しい花には、うっとりと魅了されてしまいます。
神明山のササユリ 神明山では、コアジサイやシソバタツナミも見頃です。
神明山山頂へは、自然保護センター本館から徒歩15分ほどです。
自然観察の森の周辺にはクマなどの野生動物も生息しています。センター本館ではクマ鈴をお貸ししていますので、観察の際はお立ち寄りください。
神明山山頂で見られるシソバタツナミ さて、六呂師高原の各所では、黄色い美しい花も咲いていました。
この植物はオオキンケイギクという名前で、実は北アメリカ原産の外来植物です。
非常に繁殖力が強く、在来の植物を駆逐し、生態系に悪影響を与える恐れがあることから、環境省により『特定外来生物』に指定され、栽培や運搬が禁止されています。
6月13日は職員3名で南六呂師集落内のオオキンケイギクを除去しました。
藪に分け入り根っこから取り除きます 根こそぎ取り除かれたオオキンケイギク Before After 一見、きれいに除去できたように見えても採り逃した小さな株が次々と花を咲かせるので、採っても採ってもモグラたたきのような戦いが続きます。。。
ですが諦めたらおしまいです。六呂師高原の自然を守るため、今後も継続的に除去を行っていきたいと思います。
ギザギザの黄色い花びらが特徴です 読者の皆さんもこの花にピンと来たら駆除にご協力をお願いします!
駆除方法には注意点もありますので下の環境省作成のチラシをご確認ください。
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2018.05.31
じめっとした天気が続き、すでに梅雨のような5月終わりの六呂師高原。
事務室で仕事をしてると、外から「キキコーキー」「キーコーキー」とイカルの悠長なさえずりが聞こえてきました。
本館ベランダから20m程離れたカスミザクラの木を見てみると、赤い実がたわわに実っています。
赤黒く熟し始めたサクランボを狙って5、6羽のイカルたちがどこからともなくやってきました。
双眼鏡で観察すると、ペンチのようなくちばしで器用に果肉をそぎ、種子を割って中身だけを食べる様子がよくわかります。
くちばしで器用に果肉を取り除いて食べています 木の下には果皮と種皮が捨てられていました サクランボの果肉に目もくれず種子だけを食べるなんて、変わりモノだと思ってしまいますが、そうでもありません。
私たちもアーモンドの種やアンズの種(杏仁豆腐の原料)など、サクラ属の種子を好んで食べます。
種子は甘くはないですが、果肉より高カロリーです。
さて、観察していると、時折、くちばしを交わす行動が見られました。このクチバシkissは何のための行動なのでしょうか?
クチバシkissを盗撮してしまいました カスミザクラのサクランボを食べる鳥はイカルだけではありません。ヒヨドリたちもやってきました。
ヒヨドリたちは騒がしくまくし立ててイカルを追い払います。
ヒヨドリのお食事の仕方はイカルとは異なり、サクランボをひょいっと丸呑みにしてしまいます。
そして、果肉だけを消化して糞として種子を300m以上散布する優秀な種子散布者です。
イカルを追い払ったヒヨドリ サクランボを丸呑みにしようとするヒヨドリ
(ブレブレの写真ですが悪しからず…)
カスミザクラからすると、イカルを追い払い、わが子を遠くに運んでくれるヒヨドリは正義のヒーローといったところでしょうか。
まだまだサクランボは実っていますので、来週までは観察できそうです。室内から観察できるので、ぜひお越しください。
私が使ったレンズは、カビだらけでうまく撮影できませんでしたが、望遠レンズをお持ちの方は撮影にもチャレンジしてみてください。
過去の様子はこちら↓↓をご覧ください。
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2018.05.29
オキナグサは、4月から5月にかけて花を咲かせるキンポウゲ科の植物です。深紅の花は釣鐘状で下向きに咲きます。花が終わると翁の白い銀髪のような毛が長く伸びる実を付けることから、その名が付けられたそうですが、密生した淡色の毛をまとった花だって、十分、翁の髭のようです。
かつてオキナグサは、嶺北の数か所で見られましたが。昭和60年頃に六呂師高原で2株確認されたのを最後に、すでに福井県から野生個体が絶滅してしまったと考えられています。
現在、六呂師高原では妻平湿原のスキーパーク側にある「オキナグサ園」やテニスコートの道路を挟んで反対側にある「農家民宿このは」のお庭にオキナグサが植えられていますが、これはかつて野生で生えていた個体を育てて増やし、花壇の中に植え戻したものです。
当センターでも、オキナグサを保護増殖するために、本館前の学習広場の一角に専用の花壇を造りました。
男性職員8名総出で作業を行いましたが、当日(5月25日)は気温も高く、約3メートル四方の花壇を造るのにも5時間程かかりました。生き物を守ることは苦労が多いと実感しました。
今後、オキナグサが再び野生に戻ることを願って、昨年から準備していた苗を植える予定です。
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2018.05.02
木々の芽吹き前線は標高1,000mを越え、六呂師高原から望む日本百名山の荒島岳や保月山・経ヶ岳が、次第に柔らかな緑で覆われてきています。また、高原内では次々と花が咲き、六呂師高原が1年で最も爽やかな時を迎えています。
大型連休後半は、こんな清々しい六呂師高原で、休日のひと時を過ごされてはいかがでしょうか。
今が旬、これからが旬になる花をご紹介します。
<以下、写真解説>
・ミツガシワ
連休中の一番のお勧めの花は、「妻平湿原のミツガシワ」です。湿原が一面に白い花で覆われ、1年で最も美しい妻平湿原の風情に親しんでいただくことができます。
・ミチノクフクジュソウ
自然観察の森の一角にあるまだまだ見頃のミチノクフクジュソウの黄色いじゅうたん。ミチノクフクジュソウの花は、光の恵みをいっぱいに浴びようと常に太陽の方を向いて動きます。鮮やかな黄色の花は、太陽を背にすると最も美しく光り輝いてくれます。
・ズミ
白色からピンク色の花が密生して咲くズミ。その存在感は高原内でひと際目立ちます。
ズミの木を見つけたら近づいて見てください。白色とピンク色の絶妙なバランスが美しいつぼみや、眩いばかりの純白の花に感動です。
・ウワミズザクラ
ズミと共に、この季節に存在感を発揮するウワミズザクラ。白い小さな花が集まって作る円柱状の花形とその花が密生して咲く様は、遠くからでもその存在を十分知ることができます。
・オキナグサ
すでに福井県から野生個体が絶滅してしまったオキナグサ。恥じらう少女ように下向きに花を咲かせるので、カメラマンにとってはとても撮影しにくい花です。
一方、名前は「翁草」。翁の白い銀髪のような毛が長く伸びる実を付けることから名付けられたそうですが、密生した淡色の毛をまとった花だって、十分、翁の髭のようですね。
現在、六呂師高原に見られるオキナグサは、かつて野生で生えていた個体を育てて増やし、花壇の中に植え戻したものです。妻平湿原のスキーパーク側にある「オキナグサ園」やテニスコートの道路を挟んで反対側にある「農家民宿このは」のお庭に生えています。
・チゴユリ
自然観察の森にある神明山の斜面では、歩道沿いにチゴユリの花が咲き始めました。稚児のように草丈10cm程度の小さなユリです。この花もまさに恥ずかしがり屋の稚児のように花を下向きに付けるので、地べたに這いつくばって撮影しないと花の様子を伝えることができません。
まだ満開はまだ少し後ですが、保護センターの本館裏は、チゴユリが密生して生えるお勧めポイントです。
・エンレイソウ
延齢草は漢字のとおり、中国で薬草として利用されてきたことが名前の由来だそうです。
効能は、高血圧、神経衰弱、健胃、腹痛、食あたりですが、有毒物質のサポニンを含むため、体質の弱い人や多量に使用すると、嘔吐、下痢、血便などが生じるそうです。一方、これを利用して、食あたりや食べ過ぎの際に食べたものを吐き出させ、命拾いすることから「延齢草」をなったようです。
大きな3枚の葉が輪生し、その中心から地味な花が1輪咲く様子は、一度見れば忘れられない独特の姿かたちをしています。
その他、自然保護センター本館前駐車場の周辺には、イチリンソウとニリンソウの白い花がちょうど見ごろです。本館から妻平湿原に向かうアプローチ歩道沿いでは、白いキクザキイチゲがまだ少し咲いています。妻平湿原の神明山側にはニリンソウ、湿原内にはサワオグルマの黄色い花も咲き始めています。
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2018.04.17
4月に入り、初夏を思わせるような陽気が続き、桜や春植物たちが一気に花を咲かせましたが、7日からは一転して気温が下がり、六呂師高原では4月8日に、4月としては記録的な積雪量(自然保護センター周辺で約25cm)に達しました。
早速、8日の朝、雪が降りしきる中を六呂師高原内の様子を見まわったところ、開花したばかりのソメイヨシノやコブシの花が、雪で覆われるという「雪見花」を見ることができました。雪に耐えながら、春の命を育む花や新芽を写真でご覧ください。
一方、25cmもの積雪に覆われたカタクリやフクジュソウなどの春植物たちはどうなったのでしょうか。
春植物たちの新葉や花は、あまりにもか弱く、少し触るだけで葉や花弁が切れ、踏みつければすぐに折れてしまいます。そんなか弱い葉や花が、25cmもの積雪の重みに耐えられるのかどうか・・・雪解け後には、春植物たちの無残な姿が点在しているのではないかと推察していました。
再び、気温が20度を超えた4月10日、保護センター本館に近いミチノクフクジュソウとカタクリの群落を見に行きました。
すると、雪が消えた所からは、徐々に押しつぶされた新葉やつぼみが見え始め、雪が無くなるとともに、花柄が立ち上がり、次第につぼみが開き始める様子を観察できました。夕方までにはほとんどの雪が消えてなくなり、その後には、いつもと変わらないカタクリとミチノクフクジュソウのお花畑が復活しました。
踏みつけや接触には弱い春植物ですが、雪の重みや低温には耐える術を身に着けていたのです。何万年にもわたって、彼らが早春に花を咲かせ続けてきた生命力を垣間見ることができました。
雪に覆われながらも、健気に花を咲かせる様子を写真でご覧ください。
さあ、もうすぐ春の陽気と花の共演が見ごろを迎えます。か弱くも生命力溢れるお花畑を見に、自然保護センターの自然観察の森にお越しになりませんか。きっと、新芽や花たちが、元気をプレゼントしてくれると思います。
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2018.04.06
この冬は六呂師高原も大雪に見舞われましたが、いつもの年と変わりなく3月に雪も解け、自然観察の森では、カタクリやキクザキイチゲ、ミチノクフクジュソウなど春植物たちが花を咲かせ始めました。
これらの植物は、木々が芽吹く前の見通しの良い林の中で、春の光をいっぱい受けて、展葉、開花、結実を忙しなく済ませてしまします。そして夏には地上部が枯れて姿を消すことから、春の妖精やスプリング・エフェメラル(春の短い命)と呼ばれます。
自然保護センターのミチノクフクジュソウ(県域絶滅危惧Ⅰ類)は、生息域外保全のため、28年前に唯一の自生地である勝山市小原地区から十数株が移植されたものです。年々増加し、現在はおよそ20m四方の斜面いっぱいに広がっています。
今は咲き始めですが、来週から再来週には斜面一面が黄色くなっているはずです。
一方、こちらのショウジョウバカマは、冬の間も雪の下で葉を着けて春を待っていました。打ち上げ花火の様にたくさんの花がパッと開いています。花茎はこれからグングン伸びていきます。歩道のあちこちで、つぼみの状態や満開のものまで見ることができます。
花が咲いているのは足元だけではありません。上を見上げると、大きな白い花が風に揺れています。コブシの花です。
自然観察の森のコブシは歩道沿いに植えられていますが、森の中に入るとコブシのなかまのタムシバが自生しています。
花だけ見るとどちらも同じ様に見えますが、別種の樹木です。
見分けは難しくありません。花とその付け根に注目しましょう。
花の付け根に小さな葉がある
開花時に葉は出ない
花と同時に花の付け根に小さな葉が出るのがコブシです。一方、タムシバにはこの小さな葉はありません。
生き物の似ているところと違うところを見比べてみるのも自然観察の楽しみの一つです。
コブシやタムシバなどモクレン属の花には面白い特徴がありますが、それはまたの機会にご紹介したいと思います。
さて、今年も4月15日からは毎週日曜の四季の自然観察シリーズがスタートします。テーマは「観察の森に咲く花を見てみよう」です。ガイドが自然観察の森の自然を案内します。今年もぜひ自然保護センターにお越しください。