「生きもの情報」カテゴリーアーカイブ
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2017.12.06
まだ紅葉が残る高原に雪が積もり、気持ちのよい朝を迎えました。
そんな朝、高原内で野鳥を探してみました。
草の種がいっぱいある草原には、小鳥たちが集まります。
草原内にある木の上でも野鳥の姿を見つけました。
今年はアトリが当たり年のようです。多い時には100羽以上の群れを見ることができます。
雪が解けた道路脇にも小鳥が集まります。
近くにはミヤマホオジロもいましたが、写真は撮れませんでした。残念。
雪がない草原にキジのペアが現れました。
その様子をネコがじっと見つめていました。
キジもその気配に気づいたのでしょう。精一杯、背を伸ばして猫の方を見ていました。
高原内のツタとカラスザンショウの実には、ハシブトガラスが集まっていました。
林の中のカラスザンショウの実には、かわいい小鳥が来ていました。
その上空をクマタカがゆっくりと舞っていました。
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2017.09.15
朝晩はすっかり涼しくなり、半袖では寒くなってきた今日この頃ですが、
そんな秋の訪れに合せるように、六呂師高原には赤とんぼ(ほとんどがアキアカネ、わずかにナツアカネ、マユタテアカネ、ノシメトンボ)の群れがやって来ました。写真ではなかなか表現できませんが、
今朝は高原の爽やかな風と青空の中、
目の前には数百頭の赤とんぼが群れていました。また牧場の有刺鉄線には、赤とんぼの行列ができていました。
行列写真の赤とんぼはすべてアキアカネです。一方、池ヶ原湿原は、初夏のように絶滅危惧種の花はありませんが、
木道脇には、ミソハギ(終わりかけ)、サワヒヨドリ(満開)、ミゾソバ(咲き始め)の花が咲き、
お花畑ロードができています。朝早く行くと、葉に付いた朝露が朝日を反射させ、キラキラ光り輝いています。
これもまた見事です。さあ、気持ちのよい季節がやってきました。
散歩がてらに、六呂師高原にいらっしゃいませ!
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2017.08.29
妻平湿原の南西側にある浅い池では、今、多くのトンボを見ることができます。
一番大きく池全体の制空権を制圧しているのがオオルリボシヤンマ、
池に突き出た抽水植物を止まり場にしているのが、オオシオカラトンボとネキトンボ、
水面近くを低く飛んでいるのが、キイトトンボ、オオイトトンボ、モノサシトンボです。
その他、時々、ナツアカネやノシメトンボなどの赤とんぼも見られるようになってきました。中でも今のお勧めは、オオルリボシヤンマとネキトンボです。
オオルリボシヤンマは、午前中であれば、かなりの高率で産卵行動を観察できます。
メスが単独で、ヒルムシロなどの水草に止まり、腹の先を水中の水草に当ててゴソゴソ。
腹の先にある針を水草の中に差し込んで産卵しているのです。その間、オスは上空を警戒しています。
侵入オスが来ると、メスを取られてはなるものかと追い払いを開始。
時には3匹のオスがメスを番う権利を得ようと、バトルを繰り広げています。
熱い子孫を残す戦いを垣間見ることができます。続いてネキトンボは、夏の赤いトンボベスト3にランクインする赤いトンボです。
ショウジョウトンボやハッチョウトンボにも負けない渋く赤いトンボです。ネキトンボは、アカトンボ属に分類される赤とんぼですが、
見られるのは9月中旬まで、本格的な赤とんぼの季節が来る頃には、見られなくなります。
今はちょうど、雌雄が連結して、メスが腹の先で水面を叩くようにアグレッシブな産卵行動が見られます。 -
2017.07.29
出勤途中に、道路脇の草刈り跡地でキジの家族を見つけました。
キジは草原の鳥ですので、六呂師高原にはかなりの数のキジが生息していると思いますが、
見つけてもすぐに背丈の高い草原に隠れてしまったり、走って逃げてしまうので、
近くでじっくりと観察する機会は、そんなに多くありません。ところが今日のキジの家族は、どーんと肝が据わったお父さんキジだったので、
車から5m程度のところで、採餌、羽繕い、休息などの行動を観察することができました。
さらにそんなお父さんのおかげか、お母さんも草陰に身を隠しながらも、近くできょろきょろしたり羽繕いをしていました。最も警戒していたのは子供たち。
普通、雛鳥の警戒心は、親鳥より少ないのですが、
この家族は、雛鳥の方が警戒心が強く、体全身が見えるところでは、急いで歩いて、見えないところで採餌しているようでした。キジは、身近な環境で普通に見られる野鳥ですが、
雄親のきらびやかな羽色は、古くから日本人を引き付け、日本の国鳥に指定されています。
ところが、卵を抱く雌親は何とも目立たない枯れ草色で、とても地味な色合いです。
その差を見ると、同じ種類なのに、どうしてこんなに違うのだろうと不思議で仕方がありませんね。
まさに進化の成せる技!六呂師高原にお越しの際には、周辺の草原も注意して見ていただくと、キジが見られるかもしれません。
でも多くの場合、キジの方が先に、人間ウォッチングをしているはずですよ。 -
2017.06.16
最近、森の中を歩いているといろんな種類の白い花をよく見かけます。特に草ムラの中に目を向けると、一本の茎に16センチほどもある長細い葉が左右対称に何枚も並んでいるのがわかります。さらにその下には、ずらっと並んだ白い花を見つけることができます。ナルコユリです。
長い縄に板と竹を結びつけて沢山並べてぶら下げ、揺らすと音がするようにした道具「鳴子」に似ていることからこの名前が付けられています。じっと見ていると、音が聞こえてくるように感じられませんか?
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2017.06.16
晴れた日の午前中、妻平湿原の上流側に隣接する小さな湿地では、ヨツボシトンボが乱舞中です。狙いは婚活!あちこちでペア成立です。でも交尾は10秒ほどで解消され、雌はすぐに産卵を始めます。交尾中のペアの写真を狙いましたが、飛びまわるペアの写真を撮るのは至難の業。乱舞している雄の写真を狙うも、こちらもあまりの速さで、ピンボケとブレの連続写真でした。おかげさまで、削除に数時間かかりました。
※写真をクリックすると、拡大表示されます。
拡大写真をさらにクリックしていくと連続写真をご覧になれます。
湿地の水面の上の可憐なイトトンボたちもご紹介します
(でもよーく探さないと見つかりませんよ)
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2017.05.26
六呂師高原に訪れた遅い春はあっという間に過ぎ去り、夏本番にむけてさまざまな植物がみずみずしさを増してきました。
センター本館前の駐車場のすぐそばでは、チョウジソウの小さなお花畑が見ごろを迎えました。
涼しげな空色が美しい清楚な花です。
花を横から見ると、“丁”という“字”に見えることが和名の由来と言われています。
このチョウジソウは、自然観察指導員の会の会員の手によって、10年以上前に勝山市野向町横倉から移植されたものです。
周囲の草刈りを行うことで少しずつ広がり、毎年きれいに花を咲かせています。
ところで、チョウジソウが本来生育する環境は、川岸の草地や谷の斜面などです。
こうした環境では、定期的に河川の氾濫などの自然かく乱を受けますが、その結果明るい草地が維持されるため、チョウジソウの生育に適していたと考えられます。
しかし、現在では護岸工事などの河川開発により、こうした環境はほとんど見られなくなりました。
生育地を失ったチョウジソウは次々と姿を消し、福井県のレッドリストでは県域絶滅危惧Ⅰ類に、環境省では準絶滅危惧に指定されています。
さて、センターのチョウジソウですが、昨年プランターに種をまくと、たくさんの芽生えが出てきました。今後多くの方がご覧になって絶滅危惧種に関心を持ってもらえることを願って、増やしていきたいと思っています。
なかなかお目にかかれない植物ですので、この機会に是非ご覧にお越しください。
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2017.05.14
木々の花が次々と咲いています。
勝山市平泉寺から六呂師高原の車道を走ると、木々の花が目立つようになってきました。
「六呂師高原 野の花めぐり」を楽しめます。
平泉寺周辺ではミズキの白い花や、つる性植物のフジの紫色の花が目立っています。
小さい花がいっぱい集まったミズキの花は、昆虫たちのレストランです。
訪花昆虫がたくさん集まります。
フジはつる性植物ですが、成長すると身を寄せた木を覆うほどに成長するため、見事なフジツリーができあがります。
フジと同じ紫色の花が咲く、キリもありました。
六呂師高原では、ウワミズザクラとズミの白い花が満開です。
どの花もとても目立ちますので、すぐにわかります。
ウワミズザクラの花序を先端から撮影してみました。
まるで雄しべのジャングルです。
ズミのつぼみは、鮮やかなピンク色ですが、花びらが開くと白くなります。
まるで全く別の花のようです。
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2017.05.06
カタクリやコブシ、オオシマザクラなどの春一番の花が過ぎましたが、第二弾のお花が次々と咲き始めています。そこで、5月4日と5日の二日間に六呂師高原で見つけたお花(ちょっと昆虫も)をご紹介します。
高原内の草原では、ヒメオドリコソウ、セイヨウタンポポ、ニョイスミレ(ツボスミレ)のお花畑を見ることができます。残念ながら、ヒメオドリコソウやセイヨウタンポポは外来種で、かつてのようなレンゲツツジやオキナグサ(野生絶滅)などの在来種のお花畑はもう見ることができませんが、高原気分は味わうことができます。
さて、野生下で絶滅してしまったオキナグサは、山野草愛好家の方々が丹精を込めて育てているオキナグサの花壇が、六呂師スキー場と妻平湿原の間と農家民宿「このは」のお庭にあります。
「このは」の花壇は道のすぐ横にありますので、よく目に付きます。
高原気分を味わった後は、自然保護センターの自然観察の森にお越しください。
現在、自然観察の森で見られるお花を紹介します。
妻平湿原では、ミツガシワの花が咲き始めています。木道や周遊道から見ていただくと、白い花の群落が目に付きます。これが氷河時代から生き残ってきたミツガシワです。満開になると、湿原が白い花で埋まります。一見の価値ありです。
湿原から自然保護センターに至るアプローチ歩道や神明山遊歩道の周辺では、小さくて目立ちませんが、柔らかなクリーム色120%のオオバクロモジの花が満開です。オオバクロモジは高級つまようじに使用される高級な香りのする木として知られています。
ミチノクフクジュソウの花畑は、まだ見応えがあります。ただ、晴れた日の日中、群落に春の日差しが降り注ぐと一斉に花びらが開くので、その時を逃すと黄色いじゅうたんのようなお花畑は見ることができませんが・・・。
奥越地方の平地ではすでに終わってしまった、イチリンソウが咲き始めました。大きな一輪の白い花が見事です。まだちらほら咲いているキクザキイチゲとの違いがわかります。またニリンソウも咲き始めました。
イチリンソウもニリンソウも白い花びらが魅力的ですが、この花を二倍楽しむ方法をお教えいたします。花びらを裏から見てみると、何とも優しいピンク色です。花びらの裏の色もなかなかよいものですよ。
近くには、キケマンとタチツボスミレの花も咲いています。その他、自然観察の森では、ナガハシスミレ、ヒゴスミレ、オオタチツボスミレ、ニョイスミレ(ツボスミレ)などのスミレの花も見られます。
また、チゴユリも咲き始めました。これからいたるところでこの小さなユリの花を楽しめます。
他には、エンレイソウやモミジイチゴの花が咲いていました。
さて、カタクリの花は終わりましたが、ウスバサイシンの若葉で、カタクリの蜜を吸っていたギフチョウの卵を見つけました。卵はまるで小さな真珠のような美しさです。
最後に、自然観察の森ガイドのご案内です。
5月7日には、自然観察指導員が自然観察の森をご案内する、四季の自然観察シリーズ「いろいろなスミレを見つけよう」を午前と午後1回ずつ開催します。連休最後のお休みを、かわいく美しい花で心の洗濯をするというのはいかがでしょうか。
なお、お花の咲いている詳しい場所をお知りになりたい方は、保護センター本館にお越しいただき、お気軽にお尋ねください。
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2017.04.29
自然保護センターが開館した平成2年頃、自然観察の森にギフチョウは定着していませんでした。
時折、遠方から移動してきた成虫の記録があっただけでした。そこで私たちは、ギフチョウの食草であるウスバサイシンやカンアオイ類を、植栽しました。
また、成虫が吸蜜する春植物のカタクリも食草の近くに植えました。しかし、植えた場所は日当たりが良い分、かなりの藪地でしたので、毎年、その藪を刈り払い、早春に日当りがよく、カタクリや食草が育ち、ギフチョウが飛ぶ空間が十分にある明るい林にする必要がありました。
カタクリは、種が落ちて、花を付けるまで7年以上かかります。
ウスバサイシンやカンアオイも成長が遅く、増えるまでに何年もかかります。いつ、ギフチョウが来るようになるかもわからないまま、15年ほど前からは自然観察指導員の会の皆様の全面的なご協力を得ながら、気長に草刈りを続けて、約25年、昨年、初めてギフチョウの定着が確認されました。
いつの間にか、食草とカタクリが増え、ギフチョウの好む明るい林ができたのです。さて、今年もその季節がやってきました。
今日、4月28日の午前中、日が射して暖かくなった頃を見計らって、ギフチョウを探してみました。
数は少なく、たった3頭の成虫を見つけただけですが、カタクリの花の蜜を吸うギフチョウを観察することができました。ギフチョウの舞う自然観察の森の夢を描いてから、約25年、ようやく現実のものとなりました。
自然再生は、時間がかかりますね。
でも感無量です。さて、観察される方は、以下のことにご注意ください。
・現場には、まだ花を付けるまで成長していないカタクリの芽生 えがたくさん出ています。
どうか踏まないように気を付けてください。
・ギフチョウは、採集しないでください。
見るだけ、撮影するだけにしてください。もっとギフチョウが増えることを願っています。
彼らの生息環境を大切にしていきましょう。自然保護センター