平成30年6月24日(日)「池ヶ原湿原 植物観察会&外来植物駆除活動」を実施しました

 平成30年6月24日(日)に、勝山市平泉寺町にある池ヶ原湿原にて、「植物観察会&外来植物駆除活動」が行われました。この活動は、地域の企業や団体・学校・行政・専門家等によって構成される池ヶ原湿原保全・活用協議会が主催しており、当センターも事務局として大きく関わっています。実施当日は、晴天で暑い日でしたが、約40名と多くの方々に参加していただき、気温とともに内容も高まった観察会&活動となりました。

 

 この行事の目的は、参加者の方々に、池ヶ原湿原には長い歴史があり、多様な植物等の生物が残されていることや、生態系を破壊するおそれのある外来植物オオハンゴンソウが侵入していることを知っていただくとともに、その駆除を体験していただくことです。

 まずは、前半の湿原植物観察会において、参加者の方々に、池ヶ原湿原の成り立ちや経緯、湿原植物とヨシやハンノキ等の関係を知っていただき、保全活動がどのように行われてきたかを学んでいただきました。下の写真は、開会式と湿原植物観察会でのお話しの様子です。専門家による分かりやすい解説で、初めて参加された方も、熱心に耳を傾けておられました。

開会式のようす
湿原植物観察会前の説明

 観察会では、池ヶ原湿原の木道を歩いているだけでも、とても爽やかで気持ちが良いですが、何といっても湿原植物があちこちに咲いているところが魅力的です。自然観察指導員の先生方の分かりやすい解説のもと、様々な湿原植物を観察することができました。

 人の背丈よりも大きくなったヨシの間からは、ミズチドリの白い花たちが顔をたくさんのぞかせていましたし、メタカラコウやカキランのつぼみ、モウセンゴケ等を見ることもできました。

木道1
木道2
 

ミズチドリの観察
 

ヨシ原の中に咲くミズチドリ

 また、観察会の途中、センター職員からは、池ヶ原湿原の歴史についての解説を行いました。実は、昨年、池ヶ原湿原では、京都府立大の高原教授らのグループによってボーリング調査が行われ、採取された堆積物の中から、約3万年前に鹿児島湾の姶良カルデラが大噴火した際に降灰した火山灰が発見されています。今、目の前にある池ヶ原湿原の環境は、氷期を超えて成り立った貴重なものであることをお伝えすることができ、良い機会となりました。

 この後も、その他の湿原植物を観察し、保全活動の必要性について十分に学ぶことができ、参加者の皆さんもたいへん興味関心を持っていただけたようです。

センター職員による池ヶ原湿原の歴史の解説
歴史の証拠となる火山灰資料を観察しているようす

 そして、いよいよ会の後半は、オオハンゴンソウの駆除活動です。まずは、オオハンゴンソウの繁殖力の強さを駆除の方法と合わせてお伝えしました。そもそもオオハンゴンソウは、外来生物法で特定外来生物に指定されており、栽培や生きたままの運搬等が禁止されています。その繁殖力はとても強く、根まで丁寧に取らないと、またすぐに新たな株が生えてくるほどです。また、根こそぎ除去しても、まき散らされた種が地中に山ほど眠っており、取っても取っても次々と生えてくるため、根気強く駆除活動をしていく必要があります。この池ヶ原湿原でも、約10年に渡りこのオオハンゴンソウの駆除活動を続けてきましたが、未だ根絶には至っておりません。駆除活動をやめてしまうとたちまち湿原内で繁茂し在来の植物に悪影響を与えかねません。

 駆除活動を行う前に、長年池ヶ原湿原でのオオハンゴンソウ駆除を請け負っている、株式会社BO‐GA(ボーガ)の講師から、正しい駆除の方法のレクチャーがありました。

オオハンゴンソウ
駆除の方法を熱心に勉強する参加者たち

 さて、駆除方法をご理解いただけたところで、実際に湿原内外の3か所に別れて駆除活動を行いました。

 サンカクホーやスコップ、根堀り等を使いオオハンゴンソウを根こそぎ採ろうとしますが、思っていたよりも根が深く張っており、力が必要でした。しかし、大勢の力が集まったことで、駆除したオオハンゴンソウのつぼみを切り取って集めたり、再び根が張らないように根を切り乾かしたり、一つひとつの作業を丁寧に行うことができたように思います。

 オオハンゴンソウが減ったことが確認でき、参加者の方々の作業後の顔には、すがすがしい爽やかな汗が光っていました!

 

 
湿原外での駆除のようす
 
抜き取られたオオハンゴンソウの山

 

 今回は駆除活動にはあまり多くの時間は割けませんでしたが、湿原内にはオオハンゴンソウがほとんど見当たらなくなりました。

 湿原の外にはまだまだオオハンゴンソウが繁茂していますが、この夏もイベント以外での駆除活動を継続して行います。

 

 今回の植物観察会&外来植物駆除活動は初めての試みでしたが、多くの方々に池ヶ原湿原の歴史や湿原植物等の生態系や、生態系を破壊するおそれのある外来植物であるオオハンゴンソウが侵入していることを知っていただくとともに、駆除を体験していただくことができ有意義な活動になったように思います。

 

 湿原のミズチドリに代わって、ご参加いただいたみなさんに感謝申し上げます。

 

 さて、今後の予定として、協議会主催のイベントとしては、10月20日にはヨシ刈り活動も予定されており、7月21日までの毎週土曜には湿原ガイドも実施されますので、是非ご参加ください。